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三宅島の産業

・農業

(1)概要
 三宅島の農業は、平成12年の噴火活動で発生した降灰、泥流及び火山ガスによって壊滅的な被害を受けた。
農地はもとより、農道や農業用貯水池をはじめとする農業インフラ等の農業生産基盤は、噴火の被害を受けて完全な機能不全に陥った。また、その5年間続いた島民の島外避難期間中に、島内の農地は植生遷移によって原野と化していった。 

 島民の帰島後、これらの被災農地や農業基盤施設のうち、火山ガス高濃度地域を除く99ヘクタール (うち自主開墾約10ヘクタール) の農地及び農道等が災害復旧事業等により復旧した。また、平成22年度からは、農業用水を安定供給に向け、笠地貯水池や送水管の復旧・整備を進めている。

 現在、三宅島では、50戸程度の農家が、キキョウランやコルディリーネ等の花卉類、特産のアシタバや赤芽イモ (サトイモ)等の野菜類、パッションフルーツ等の果樹類を生産し、市場への出荷や島内での地産地消活動を意欲的に行っている。
また、アシタバ生産や施設園芸においては、東京都の施設整備事業を活用して加工施設やパイプハウス等を導入し、安定的で収益性の高い農業の実現を図っている。
一方で、農家の高齢化や担い手不足による後継者問題は深刻である。そのため、近年では新規就農希望者を対象とした農業研修を実施し、積極的に担い手の確保及び育成に取り組んでいる。

《農生産物生産状況:令和2年度》
[農産物]
 平成12年の噴火災害以前の三宅島農業は、周年出荷の定着したアシタバが、昭和59年以降栽培面積を伸ばし、伊豆諸島最大(国内最大) の産地となっていた。また、 花き観葉植物類については、レザーファンやタマシダ等の切り葉が中心であり、栽培面積は年々増加していた。特に、施設でのレザーファンの栽培が増え、アシタバと並んで村の基幹作目となっていた。
 しかし、平成12年の噴火後、継続する火山ガスの噴出は多くの特産農産物に深刻な影響を及ぼすことが確認され、作目転換も視野に入れた営農再開の取り組みが必要となっている。
 現在、復旧した農地では、比較的火山ガスに強いアシタバや赤芽イモ(サトイモ)、サツマイモ等の作付けが多くなされている。
 一方、切り葉では、コルディリーネやキキョウラン等を中心とした作付けへと作目転換がなされた。
 また、新たな特産農産物を目指してパッションフルーツの栽培にも取り組み、贈答用や商店への出荷、イベント等でも販売されている。
 さらに、今後はカンキツ類の栽培も増産させ、三宅島の新たな特産品として普及を目指していく予定である。

[畜産]
 平成12年の噴火災害以前の三宅島では、牛、豚及び鶏が飼養され、主に島外向けに肉用牛、肉豚や鶏卵の出荷が行われていた。また、雄山中腹に広がる三宅村営牧場では、東京都内の酪農家が生産した乳用雌子牛を育成する受託事業を行っていた。広大な敷地内にふれあい牧場も運営し、公益牧場としての整備運営が推進されていた。しかし、噴火災害により三宅村営牧場は閉園し、島内に存在した他の畜産農家も畜産経営から撤退していった。
  現在、三宅島及び御蔵島では、飼養管理や施設整備が比較的容易な採卵鶏を飼養する例が、少数みられる。いずれの鶏飼養者も、自家消費用の鶏卵を生産する程度の規模であり、産業として畜産業に従事する経営体はない。

《農産物生産状況:令和2年度》

作目 生産額(単位:ha、百万円)
カンショ
バレイショ
サトイモ
アシタバ
116
キヌサヤ
その他野菜
18
レザーファン
その他花き類
76
果樹
その他
畜産物
合計
235

 

・林業
  三宅島は、一連の平成12年雄山火山活動及びその後の豪雨による泥流被害の影響により、森林植生が壊滅的な被害を受けた。現在でも噴出が続く火山ガスの影響により、植生の回復速度はゆっくりである。しかしながら、被災直後からの治山・林道の災害復旧事業、全島避難解除後に始まった枯損木の処理・先行植栽事業等、森林復旧事業に多くの力を結集して着実に取り組んでいるところである。
 かつての三宅島は、シイ・タブの巨木をはじめ、緑濃いスギ・ヒノキで覆われた野鳥の宝庫であった。また、古くから薪炭生産が盛んであった。薪炭産業は、冬期にはほとんど産業活動のない島の経済を支える大きな柱であった。しかし、燃料消費構造の変化による需要の減少により、昭和38年頃から生産量は下降の一途をたどり、昭和40年代初めには最盛期の2割以下にまで生産量が激減した。さらに、島の特産としてのツゲ(柘)、クワ(桑)の生産も、資源の枯渇を招き、減産を余儀なくされた。衰退する薪炭・素材生産に相反するように昭和50年頃から始まったヒサカキ・シキミの切り枝は順調に生産量を伸ばし、林産物生産の柱となった。しかしながら、平成12年噴火後は、個人による生産活動がわずかに行われている状況である。

 

・水産業
  三宅支庁の管轄する海域は、三宅島、御蔵島のほか大野原島、イナンバ島を含む広い範囲にわたっている。この海域は、黒潮の流路となっているため、黒潮の蛇行等により海洋環境が大きく変動し、また起伏のある複雑な海底地形を有していることから、魚類や藻類、貝類などの優良な漁場となっている。
 三宅島ではカツオ、マグロ等を対象としたひき縄漁業、マグロ類を対象とした延縄漁業、キンメダイなどの底魚を対象とした一本釣り漁業、タカベ刺し網漁業、テングサ、トコブシを対象とした採貝藻漁業などが営まれている。特にテングサについては、品質・量ともに全国でも有数の産地として知られている。
 平成12年の雄山の噴火と全島避難により、火山灰や泥流による磯根漁場の荒廃、漁業生産基盤施設の被災さらに漁業者の減少により、漁業生産は大幅な縮小を余儀なくされた。平成17年の帰島後、水産物鮮度保持施設などの共同利用施設の復旧・整備や漁場造成等が進められた。これにより、漁業生産は、カツオ、マグロ、キンメダイなど魚類の水揚げが噴火災害前と同水準に戻りつつあるものの、テングサや貝類などの磯根資源の水揚げについては、依然として、回復には至っていない。
 三宅島の令和3年の漁獲量は、269トン(平成23年〜令和2年平均:約214トン)であるが、避難直前の漁獲量513トン(平成11年)に対して、約5割程度の生産量となっている。

 

《主要魚種別漁獲量、生産額:令和3年》

 《魚種別漁獲量》               

  (単位:漁獲量=s 金額=千円)

項目 漁獲量 生産額
さ    ば
609
203
と び う お
392
236
む ろ あ じ
9,606
2,678
ま あ じ
し ま あ じ
786
2,733
た か べ
1,197
1,880
い さ き
1,594
1,342
か つ お 類
43,866
19,711
ま ぐ ろ 類
83,579
81,539
か じ き 類
1,635
1,525
き ん め だ い
92,448
113,359
ひ め だ い
149
146
は ま だ い
115
170
あ お だ い
1,310
1,208
め だ い
9,969
5,799
あ こ う だ い
462
830
ま だ い
11
10
ひ ら ま さ
734
418
か ん ぱ ち
4,052
4,183
さ わ ら
515
173
む   つ
369
890
さ め 類
ぶ り 類
ひ ら め
12
18
ぼ ら 類
そ の 他 の 魚 類
13,704
8,365
か   め
い か 類
688
1,236
い せ え び
178
1,165
と こ ぶ し
そ の 他
124
211
て ん ぐ さ
483
437
と さ か の り
そ の 他 の 藻 類
合計
268,594
250,467
(令和4年度三宅支庁管内概要より引用)

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